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ジビエのデメリットとは?

★問題・課題

 安全性の確保、安定供給、販路の確保等に問題がある。

ジビエの提供

 捕獲された野生動物肉が食肉として利用されることは少なく、焼却処分や埋設が行われている。そのため、食肉としては供給が安定しないという問題がある。また、個性を見極めて調理する必要があり、その個性を含めた情報をつけて、ジビエの流通では信頼関係や目利き、経験が重要となると言われている。

ジビエ肉としての問題…。

 ジビエの品質が安定していないため、普通の肉と同じ調理方法では、その美味しさや旨みを引き出せないといわれている。また、狩猟の際、銃弾の種類によっては可食部分が大きく損傷してしまったり、内臓が飛び散って味が悪くなってしまったりすることがあり、逃げ回った獣は体温が上昇しており、なるべく早く肉を冷やさないと急速にうま味が損なわれると信じられている。また、ジビエ特有の獣臭は血抜きの技術に大きく左右され、血が残っているほど臭いは強くなり、肉が硬い、くさみがある、不味い、といったイメージや経験が先行している。また、現在、解体までに獣医師による病原微生物や寄生虫の検査が行われておらず、リスクの高い肉と指摘がされている事実がある。

ジビエの価格

 入手困難で、高価になることが多く、相場感も独特であるのが現実である。詳細はジビエ肉のHPに記入することとする。

ジビエの病的リスク

 寄生虫症、E型肝炎ウイルスや病原性大腸菌などの食中毒原因病原体に汚染されているため、生で食用とした場合、感染症を発症する恐れがあるといわれ、一般的な肉と同じように、熟成肉など稚拙な方法を用いれば食中毒や有害カビ増殖など、健康被害のリスクを高める可能性がある。

 近年、E 型肝炎が急増が見られ、 2012 〜 2016 年までに 701 例の発生が報告されている。感染源のうち 290 例は豚(肉やレ バーを含む)の生喫食、イノシシ、シカがそれぞれ、症例 121 例 (42%)、34 例 (12%)、32 例(11%)と国立感染症研究所により報告されている 。

 日本においてジビエを介して発症した人獣共通感染症は、E 型肝炎や 腸管出血性大腸菌 O157 感染症などの事例があり、加熱不十分な野生シカ肉や野生イノシシ肉を食べたことが原因とみられる。実例を表1に示す。

 表1 動物肉を食した際の病例と原因、その後の対応について

動物実例 原因 対応
1998 年から 2011 年
128 件(患 者数 852 人)発生、22 件(患者数 79 人)腸管出血性大腸菌症。
牛の生の肝臓の喫食が原因 厚生労働省 2012 年 7 月から肝臓の生食用の
販売・ 提供を禁止
肝臓の生食 と焼き肉による E 型肝炎で、いずれも生肉と 生の内蔵、あるいは加熱不十分な肉料理が原因 豚肉や肝臓の生食による 2015年6月から 内臓類を含むすべての豚肉について 生食用として販売・提供が禁止
鹿生食によるサルモ ネラ症、腸管出血性大腸菌症と E 型肝炎、さ らにはあぶり肉での住肉胞子虫(寄生虫)によ る下痢と嘔 おう 吐で、集団発生 生肉と 生の内蔵、あるいは加熱不十分な肉料理が原因 農林水産省:平成 23 年 3 月に「野生鳥獣被害防止マニュアル-シカ、イノシシ(捕獲獣肉 利活用編)-」を発行。
厚生労働省平成 23 年度より、「野生鳥獣 由来食肉の安全性確保に関する研究」
肝臓の生食 と焼き肉による E 型肝炎で、集団発生 、生食による寄生虫(ウェステルマン肺吸虫)の感染 生肉と 生の内蔵、あるいは加熱不十分な肉料理が原因
同上

ジビエに関わる注意(安心感への配慮)

 古くは狩猟によって食料を得てきたヨーロッパではエボラウイルス(EVD)の流行とともに、政府が音頭をとって、ジビエの危険性をキャンペーンを実施している。日本では厚生労働省は「よく加熱して食べる」ように注意喚起をしている。例として、2016年にクマ肉の焼き肉やカツに調理した料理を食べて、旋毛虫(トリヒナ)食中毒を発症した事例をうけて、「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」(厚労省、2014年)の遵守を求める通知を出している。

 ジビエ肉を食べた当人に自覚症状などが出なくても、その献血から輸血された病人が、ジビエ肉由来の病原微生物により発症した例も報告されている。また、人だけでなくペットに対しても、獣生肉を与える事を止めるよう指摘している獣医師もいてHPなどで呼びかけている例がある。

 食肉や野生鳥獣肉は、同じ肉であるため、 調理する際は、しっかり加熱(中心部 75℃、 1 分以上) することと、生肉に触れたものによる交差汚染 に気をつけることが極めて重要 であり、肉や内臓の生食はウイルス、細菌、寄生虫によ る感染(食中毒)リスクの高いことを自覚し、極めて危険な 行為でることを認識すべきであり、病原体は加熱により死滅するので、過度に怯えるのではなく、よ く加熱することを心がけることが一番重要である。

 また、ジビエは環境に大きく作用されるため、原発事故による放射性物質のリスク管理についてや鳥インフルエンザやブダコレラなど影響は人的な被害については大きく報道されていないが、外的要因についても十分に注意すべきことである。

参考文献;WEBサイト

 参考文献として、WEBを中心にまとめております。これは時代背景とリアルタイムに反映できることを目的としており、情報の信頼性に関しては引用のHPの信頼度に依存します。フェイクニュースなどが発覚次第。至急修正をいたします。情報に関して閲覧者の責任のもとでご活用いただき、 不利益が生じた場合は 本HP の管理者は関与いたしませんので予めご了承ください。

  1. 料理人のためのジビエガイド上手な選び方と加工・料理 著 神谷 英生 、2014年、ISBN 978-4-388-06200-3
  2. 髙井 伸二、国民生活2018、8、11、http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201808_05.pdf
  3. 食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/140805_gibier.pdf