Diarylethenes Papers 2023.Dec.

Diarylethenes 2023. Dec. Papers List

Diarylethene（ジアリールエテン）は、近赤外光や可視光でスイッチ可能な分子スイッチとして注目されています。最近の研究では、この分子の新しい特性と応用が次々と明らかになっています。

1. Diarylethene-トリアゾリウム光スイッチ
   2023年12月に発表された研究では、Diaryletheneを基盤とした新しい光スイッチが紹介されています。この分子は、近赤外領域（900 nm以上）で吸収する閉環体を形成し、クリック化学によって合成されました。特に、ミリ秒単位で環化反応を起こす能力や、高い耐久性を持つことが新たに発見されました。これにより、Diaryletheneは生物学的応用の可能性を広げています。
2. 可視光駆動型分子スイッチ（TPAP-DTE）
   可視光のみで反応するDiaryletheneベースの新しい分子スイッチ「TPAP-DTE」が合成され、QRコードの書き換えやデータストレージ、暗号化などの情報記録技術に利用できることが示されました。TPAP-DTEは、非常に高い光環化量子収率とモル吸収係数を持ち、可視光による双方向変換において優れた疲労耐性と耐老化性を発揮します。
3. Diarylethene-Perylenebisimide二重体
   Diaryletheneとペリレンビスイミドを組み合わせた新しい二重体が、可視光誘起環化反応において注目されています。特に、ブロミン重原子を導入することで、環化反応の量子収率が大きく向上することが確認されました。この研究は、可視光で作動する新たな分子スイッチの設計に重要な示唆を与えています。
4. 金属カチオンによる光応答性の制御
   Diaryletheneを基にした化合物は、金属カチオンの影響を受けてその光応答性を変化させることが分かりました。特に、過剰なCu2+が存在する場合、光照射によって化学変化を起こし、安定した化合物に変化します。この研究は、Diaryletheneを用いた新しいタイプの光応答分子の開発につながる可能性があります。

これらの研究は、Diaryletheneを利用した分子スイッチの応用範囲を広げ、情報記録や生物学的応用において革新的な進展をもたらすことが期待されています。