DSSCの封止(シール)とは?電解液漏れ・水分侵入を防ぐ考え方とチェックポイント

この記事で分かること
– DSSCで封止が重要な理由(なぜ漏れる?なぜ劣化する?)
– 封止不良がJsc/Voc/FFにどう現れやすいか
– 実験でできる対策(材料・構造・作業・確認方法)

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導入

DSSC(色素増感太陽電池)で長期安定性を左右しやすい要因の1つが 封止(シール)です。特に液体電解液系では、わずかな隙間や材料の選定ミスで 電解液漏れ水分・酸素の侵入 が起こり、性能が徐々に落ちていきます。
この記事では、封止で何が起きるのか、どんな症状が出るのか、そして実験で取り組みやすい対策を整理します。


まず結論(要点)

  • 封止の失敗は 漏れ(リーク)水分侵入 を招き、DSSCの劣化を加速する
  • 症状としては、IVで Jsc低下FF低下が出やすく、再結合増加でVoc低下が起こることもある
  • 封止は「材料」だけでなく、構造(スペーサー)・作業手順・検査までセットで考えると成功率が上がる

1. なぜ封止が重要?(DSSCが漏れやすい理由)

液体電解液系DSSCでは、電解液がセル内部に存在します。
電解液は溶媒を含むため、以下の要因で漏れ・揮発・吸湿が起こりやすくなります。

  • 封止材とガラス/基板の密着不良
  • スペーサー厚みや隙間設計が不適切
  • 端部(角)の応力集中や気泡
  • 温度変化による膨張・収縮
  • 電解液溶媒の揮発や材料への浸透

2. 封止不良が性能にどう出る?(症状ベース)

2-1. 電解液漏れ(リーク)

  • 電解液量が減る → レドックス循環が不安定 → Jsc低下FF低下につながる
  • 外観の変化(にじみ、気泡、端部の濡れ)が出ることも

2-2. 水分・酸素の侵入

  • 再結合増加、界面劣化 → Voc低下が目立つ場合がある
  • 安定性試験でじわじわ落ちる“典型原因”になりやすい

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3. 封止の構造:スペーサーと封止ライン

封止は、材料だけでなく「どこに」「どの厚みで」「どう閉じるか」が重要です。

  • スペーサー:セルギャップ(電解液層の厚み)を決める
  • 封止ライン:端部の気密性・液密性を確保する
  • 注入孔(ある場合):最後に塞ぐ工程が弱点になりやすい

4. 実験でできる対策(効く順)

対策A:封止材の選定(溶媒耐性・接着性)

  • 電解液溶媒に対する耐性(膨潤・溶解しないか)
  • ガラス/基板への接着性
  • 長期での劣化(硬化・クラック)を起こしにくいか

対策B:作業の基本(気泡・汚れを減らす)

  • 端部の汚れ・油分を避ける(清浄化)
  • 気泡を入れない(貼り合わせ時の圧力・順序)
  • 角部の“欠け”や段差を避ける

対策C:温度・湿度管理

  • 作製・封止作業は乾燥環境で
  • 保管は乾燥剤を入れた容器などで吸湿を避ける

対策D:注入孔の封止(最終工程)

  • 注入後の封止材硬化条件を最適化
  • ここが弱いとリークの原因になりやすい

5. 封止の“簡易チェック”方法

5-1. 外観チェック

  • 端部のにじみ、気泡、濡れ
  • 時間経過での変化

5-2. 重量変化(簡易)

セル重量を作製直後と一定期間後で比較し、揮発/漏れの兆候を確認する方法です(精密ではないが目安になる)。

5-3. 性能の時系列(IV)

同条件でIVを繰り返し測定し、Jsc/Voc/FFがどう落ちるかを見る。
封止不良は「落ち方」に特徴が出ることがあります。


FAQ

Q. 封止が良ければ安定性は解決しますか?
A. 大きく改善することが多いですが、色素・電解液・界面の耐久性も影響します。封止は“最優先の土台”と考えるのが安全です。

Q. 漏れが無いのに性能が落ちます。封止の問題ですか?
A. 水分侵入や界面劣化は、外観に出にくい場合があります。安定性試験とEIS/吸収/IPCEなどを組み合わせて切り分けるのが確実です。


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