有機EL（OLED）って何？
有機EL（Organic Light-Emitting Diode, OLED）は、有機分子そのものが光る「自発光ディスプレイ」です。
液晶ディスプレイ（LCD）のようにバックライト（光源）を必要とせず、1つ1つの画素（ピクセル）が自分で光ります。
スマートフォン、テレビ、スマートウォッチ、車載ディスプレイなど、身の回りの「きれいな画面」の多くで使われている最先端の表示技術です。
有機ELのしくみ（やさしいイメージ）
有機EL素子は、以下のような薄い層が積み重なった「サンドイッチ構造」になっています。
- ガラス基板やプラスチック基板
- 透明電極（アノード）
- 有機薄膜（正孔輸送層、発光層、電子輸送層など）
- 金属電極（カソード）
電圧をかけると、
- アノード側から正孔（＋の電荷）、カソード側から電子（−の電荷）が流れ込む
- 有機発光層の中で電子と正孔が出会い、「励起状態」の分子ができる
- 励起状態が基底状態に戻るときに光（フォトン）を出す
という流れで発光します。
どの有機分子を使うか、どんな構造にするかによって、光の色（赤・緑・青など）や効率、寿命が大きく変わります。
有機ELの特徴
1. コントラストが非常に高い
- 画素ごとにオン・オフできるため、「黒」を本当に消灯して表現できます。
- 真っ暗な夜空とネオンなど、明暗のはっきりした映像がとてもきれいです。
2. 薄くて軽く、曲げられる
- 有機薄膜は数十 nm 程度と非常に薄く、ガラスだけでなくプラスチック基板にも形成できます。
- 曲げられるディスプレイ、折りたたみスマホ、巻き取り型ディスプレイなどが実現されています。
3. 視野角・応答速度に優れる
- 視野角が広く、横から見ても色やコントラストの変化が少ないのが特徴です。
- 応答速度が速いため、動画やゲーム表示にも向いています。
4. 課題：寿命と焼き付き
- 高輝度・高温で長時間使うと、発光層の分子が劣化し、明るさが下がってきます。
- 同じ場所を長時間光らせ続けると、「焼き付き」と呼ばれる残像が見えることがあります。
- 研究レベルでは、高効率化と長寿命化を両立した材料設計が活発に進められています。
