OLED Thermally Activated Delayed Fluorescence December 2024 Papers list.
2024年のOLED研究において、**TADF(熱活性化遅延蛍光)技術と外部量子効率(EQE)**の向上が注目されています。以下に、主要な成果と共通項を中心に説明します。
1. TADFを活用した分子設計とEQEの向上
内部空間的電荷移動を持つTSCT-TADF分子
- 研究では、スピロフルオレンブリッジに側鎖を導入し、分子の揺動を制限する「固定化基」を設計。
- 成果
- 8PhDM-BのEQEは最大33.1%。
- 8PyDM-BのEQEは最大31.0%。
- 励起状態動力学の改善が効率向上に寄与。
キラル分子とTADFの複合利用
- 分子の対称性を制御し、TADFと常温りん光(RTP)の両方を発現。
- 成果
- フォトルミネッセンス量子収率90%以上。
- 単一分子からの白色発光OLEDで、最大EQE30%を達成。
2. 銅錯体の新技術と安定性の向上
Cu···H相互作用を活用したTADF材料
- 分子内でCu···H相互作用を設計し、低配位銅(I)錯体の安定性を強化。
- 成果
- 最大EQE29.5%。
- 発光量子収率86%、動作寿命(LT90)は68時間。
銀クラスターへの銅(I)ドーピング
- 銀(I)を銅(I)に置換した合金クラスターにより、円偏光OLED(CP-OLEDs)を実現。
- 成果
- 外部量子効率26.7%。
- 強い銅(I)との相互作用で構造と熱安定性を向上。
3. 青色OLEDの進展とTADF性能の向上
カルバゾール-ベンゾニトリル(CzBN)を基盤とした青色TADF材料
- 励起子ダイナミクスの加速と材料安定性向上を目指した分子設計。
- 成果
- 重金属を使用せず、高効率かつ安定した青色発光を実現。
4. MR-TADF技術とペンダント設計
ペンダント型MR-TADF分子の開発
- 中性、ドナー型、アクセプター型ペンダントを導入したMR-TADF材料を合成。
- 成果
- tDABNA-TP(中性ペンダント)のEQEは20.7%、寿命は196時間。
- ペンダント設計がOLED性能に重要であることを示した。
結論と意義
これらの研究は、TADFの励起状態工学や分子設計の革新によって、OLEDの性能を劇的に向上させました。特に、EQEの向上や材料の安定化は、次世代の高性能ディスプレイや照明技術の基盤となる重要な成果です。