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お肉の流通(I)

国産牛肉・豚肉の流通

図 牛・豚の流通

1.生体取引:家畜を生きたままの状態で取引

  1. 生産者が大切に育てた牛と豚
  2. 家畜商や専門の小売業者・卸売業者
  3. と畜場でと畜、解体
  4. 自分で販売、または小売業者
  5. 消費者

2.枝肉取引:枝肉の状態で行う取引

枝肉取引規格:市場での取引価格は毎日公表

  1. 生産者
  2. 卸売市場(中央・地方)
  3. 卸売業者や仲卸業者、小売業者や加工メーカー
  4. 消費者

枝肉とは

 と畜場でと殺された肉牛や肉豚を、血液や皮、頭部、内臓などを除去し、中心線に沿って背骨のところから2分割した半丸状のものである。
枝肉歩留まり;牛肉57~63%、豚肉65~70%。

枝肉取引規格とは

「全国統一規格」:食肉卸売市場・食肉センターにおける牛豚枝肉の公正な取引を推進するため(社)日本食肉格付協会が農林水産省畜産局長(現・生産局)の承認を経て定めたもの

A.牛肉:歩留まり等級と肉質等級を組み合わせた15段階で格付
歩留まり等級とは:枝肉の重量に対する肉の割合

   ロース断面積、ばら肉の厚さ、皮下脂肪の厚さ、と体重量の4項目
  A~C(A:72以上、B:69以上72未満、C:69未満)の3等級に区分。

肉質等級とは:

   脂肪交雑、肉の色沢、肉のしまりときめ、脂肪の色沢と質
  5~1等級に区分。

B.豚肉:5段階に格付

  重量と背脂肪の厚さ、外観、肉質をもとに、
 極上、上、中、並、等外の5段階に格付。

枝肉格付とは:

 昭和37年に、食肉の流通の合理化の一環として食肉中央卸売市場で始まりその後、地方卸売市場、食肉センター にて行われている。(社)日本食肉格付協会が定めている牛、豚の枝肉及び部分肉取引規格に基づいて、協会の格付員が行う等級付けを言い、肉質や歩留まりによって等級が決められ、取引をする場合の目安となっている。

3.部分肉:

 枝肉を各部分に分割して除骨した後、余分な脂肪などを除去して整形したもの別名「カット肉」

 箱などに詰められて冷蔵状態で消費地に出荷するため、流通の合理化と製造コストや輸送コストの削減というメリットが高く、割合は年々増加し、全流通量の大部分を占めるまでになっている。

 枝肉からの部分肉の歩留まり率は牛:約75%、豚約73%。枝肉の格付等級が高いものほど筋肉が充実して皮下脂肪が少なく、部分肉や精肉の歩留まり率はよい。

部分肉取引規格

 部分肉の生産、流通は、(社)日本食肉格付協会の定めた規格(昭和51年農林水産省承認)。全国共通の規格、合理的な取引が円滑に行われるシステムである。

牛部分肉: 昭和63年4月に規格の一部を改正

 かた、かたロース、リブロース、サーロイン、ヒレ、かたばら、ともばら、うちもも、しんたま、そともも、らんいち、ネック、すねの13部分肉のほか、ネックつきかたロースなど一部例外もあり。

豚部分肉: 平成元年3月に規格の一部を改正。

 かた、ロース、ヒレ、ばら、ももを5部分肉。
 かたをうでとかたロースに分け6部分肉とする場合もある
 重量区分(S、M、L)や、等級区分が極上、上から1と2。

精肉流通

 部分肉はさらに、厚切り、薄切り、かたまり、ひき肉など、消費者の用途に合わせた精肉にカットされ販売されます

 精肉化は小売商が行うのが一般的でしたが、最近では、人手不足や人件費節減などの理由から、食肉センターなどで精肉にして、これを小売商が直接仕入れる精肉流通

 店頭で小売される牛肉や豚肉の部位表示については、食肉小売品質基準によって定められています

 部分肉の精肉歩留まり率は、カッティング方法などによって異なりますが、牛で約75%、豚で約89%です。

4.インテグレーション

 直営農場を経営したり、販売も大手スーパーと販売契約するなど、生産、解体、販売の各段階の一部または全部を、同一資本が系列化し統合すること

 日本:主に総合商社などが中心的な役割を担う
 システム:アメリカで始まり、1960年代にブロイラー生産に始まり、鶏卵、肉豚、肉牛の順に広がった。
 行っている会社や法人などをインテグレーターという。

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5.食肉小売品質基準

 農林水産省畜産局長の通達(昭和52年通達、平成11年改正)によって、食肉小売店で販売される牛肉、豚肉の部位の表示等について定めた基準

 従来:部位別名称の表示方法等が小売店によってまちまち・・・
→上記の基準により、特に定める場合を除き、
 (社)日本食肉格付協会の牛部分肉取引規格及び豚部分肉取引規格に定める名称を使用

牛肉

 9部位 :かた、かたロース、リブロース、サーロイン、ヒレ、ばら、もも、そともも、らんぷ

 小売販売用スライス肉;2種類以上の部位を混合する場合
  使用量の多い順に表示。ただしその場合、かたロース、リブロース、サーロイン、ヒレは牛ロース、もも、そともも、らんぷはももの区分として表示

 こま切れおよびひき肉は部位表示をする必要はない。

豚肉

 7部位:かた、かたロース、ロース、ばら、もも、そともも、ヒレ

 2種類以上の部位を混合する場合
  牛肉同様にかたロース、ロース、ヒレはロース、もも、そとももはももとして区分して表示
 バークシャー純粋種の豚肉のみ「黒豚」と表示することができまる

こま切れおよびひき肉は部位表示をする必要はない。

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6.牛・豚の副生物の流通

 牛や豚の内臓:「モツ」「ホルモン」と呼ばれていたが、「畜産副生物」が統一名称
 内臓:欧州やアメリカ、アジアなど日本以外の国では食肉同様親しまれている。
 食肉とは流通ルートが異なる。

 バークシャー純粋種の豚肉のみ「黒豚」と表示することができまる

畜産副生物

 生体から枝肉を生産した後に残った副産物から、原皮を取り除いたものが副生物
 食用:畜産副生物卸売業で取り扱われる。
 副生物:可食臓器類と不可食臓器類とに分けられる。

畜産副生物の種類

副生物
 と殺、解体や精肉を生産する段階で副次的に産出されるもの
 需要を反映した業界の意思によって出荷を自由に制御することができない
 保存性が低く、腐敗が急速に進む
 保管の仕方によっては、商品価値がすぐになくなる
 さらに検査による廃棄率が高い。
 可食部位の歩留まりは牛で約37%、豚で約45%

牛の副生物
 多くは焼き肉の食材として利用
 大腸、小腸類は、モツ煮込みなどに使われている。

豚の副生物
 関東方面では串焼きの食材
 大腸、小腸類は牛と同様にモツ煮込みに使われている。
 これらはレトルト食品でも出回っている。

レバー
 牛、豚ともにペースト状/ムース状、
 離乳食に加工されたりして幅広く利用されている。

地域性

 関西以南:牛、東京以北:豚の消費地
 内臓も肉と同様に、西:牛の内臓、東:豚の内臓が多く消費される。
 地域により需要が異なる。

季節性

 冬場:白物(腸や胃などの消化器系統)がモツ煮やホルモン焼きとして利用
 夏場:焼き肉の材料などで赤物(レバーやハツ、サガリなど)がよく消費される
 需要には季節性が強く反映する。

畜産副生物の流通

 副生物:保存性が低いことなどから地域流通が主体で、生産圏を超えた広域流通は定着していない。

 公開取引が行われないため、取引数量を集計した統計資料はない。

推計;
 牛の場合
  副生物の国内生産量は約5万5,000トン、輸入量は約12万トン。
  輸入の多くは、ハラミ・サガリ類。
 豚の場合
  国内生産量が約14万1,000トン、輸入量は約5,000トン。

 主として、焼きとり屋などで消費されており、家庭内の消費は非常に少ない。

 理由:諸外国に比べ、わが国では副生物に関する商品知識や調理法が家庭内にまだ充分に普及していないため。

副生物の部位

 牛、豚の内臓類:
 (社)日本畜産副産物協会によって牛および、豚の部位表示について普及促進が図られている。

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